「嘘も方便、優しい嘘っていう言葉もあるわーさ」

『君には気持ち悪くて使う気がしない』

「酷いわーん、これでもあんたの事は気遣っているのにーん」

『反吐が出るので止めていただきたい』

「本当、辛口だわーん。しかし、あんたもよく俺に力を貸したのねーん」

『興味がない。敵も、味方も、全て。力を使いたければ、使えばいい。滅ぼしたければ、滅ぼせばいい』

「正直ねーん。まあ、嫌いでは、ないわーん」

タバコを携帯灰皿に押し付けた。

ライフルのケースを持ち上げ、屋上から降りる。

「さて、隊長さんは、上手くやってるかしらーん」

『やらなければ、君たちの部隊は終了する』

「残りは俺達二人なのよねーん。他のは全部おじゃーん」

テンプルナイツはジャックを隊長とする組織である。

退魔師とは同盟を組んでいたものの、ミールオルディンによって組織は壊滅し、ジャックが行方不明になった事により同盟は破棄。

ミールオルディンから逃げ延びたのは、ジャックとロックの二人だけになった。

しかし、物資を蓄え傷も完治した今、再び動き始めたのだ。

『負け戦だ』

「前回は内部からの情報操作によって出遅れた部分はあるけれど、今回はパターンが違うわーん。今の隊長は、いつもの数倍マジだわーん」

『マジだと、何が違う?』

「愚問ねえーん。隊長がマジだっていう時は、必ず仕留めるって事なのよーん」

ロックは売店に寄った。

「あ、コーヒー牛乳とか置いてるのーん?」

「少し待ってね」

おばちゃんがしゃがみこむ。

『のんびりしてるな』

「分かってるわーん」

店員が目を離した隙に、ロックが店の中に入る。

そして、しゃがんでいるおばさんに銃口を突きつけた。