「千鶴を悲しませてんじゃないわ、殺すわよ!」

突如、ライダースーツの女が千鶴の背後に降り立った。

「ああ?」

女はブロンドのセミロングを持つ外国の妖魔か。

何度か見た事はある。

「俺を殺すだ?面白い事いうじゃねえか。やってみろよ」

俺は構える。

しかし、女の背後にいる千鶴も当然気付いている。

「ジャスミン、何でここに?」

「今日はバイト休み。んでもって、千鶴の後をつけてきたわけ」

「大丈夫って言ったのに」

「何が大丈夫よ。ふざけないで。千鶴は自分の顔を鏡で見たほうがいいわよ」

「でも」

「それより、あなた、何考えてるわけ?」

「良いんだよ。私が悪いの。だから、お願い、闘わないで」

葉桜妹がジャスミンという女の腕にしがみ付いた。

「ち、胸糞悪い」

面倒くさい状況だ。

「葉桜」

「はい」

「テメーは家に帰って寝てろ。そんな状態で街中歩かれても面倒事が増えるだけなんだよ」

「ごめんなさい」

「あなた、いい加減にしたらどう?」

「ジャスミン、犬神さんが言ってる事は正しいよ。ジャスミンだって、私を心配して後をつけてきたんでしょ。だから、ね?」

葉桜妹はジャスミンを見つめながらも首を振った。