女性が、機械で埋め尽くされた部屋の真ん中に設置された椅子に座っていた。

「君はそれだけでよかったのかね?」

傍で機械を調整していた金髪の少年は興味本位で質問する。

そこには心配などという文字はない。

「私の望みは、彼が幸せになる事だから」

満足しているかのような顔で瞳を閉じている。

少年は女性と顔をあわせようとしない。

それは女性も同じだった。

その様子は、お互いが見飽きたかのような、古くから知っている間柄のようである。

「しかし、これで彼との線が出来てしまったわけだがね」

「今の彼は普通の人間」

「たどり着く事は出来ないと思うかね?」

少年の物の言い方は何かを含んでいるかのようであった。

彼女は目を開き、少年を見る。

「きっと、出来ないよ」

少年はチラ見をした後に視点を戻す。

「それは彼次第だがね」

「あなたは、また彼を手助けするつもり」

「君が本意ではない以上、それをするつもりはないがね」

少年は笑う。

それは悪魔が宿った笑顔にも似ていた。