女性が町の風景を見ている。

透き通るような髪。

透き通るような肌。

憂いを帯びた端整な顔。

服は誰もが来ているような白いロンティーにジーパンにスニーカーだ。

とても、不思議な雰囲気をかもし出している。

見たことがあるかもしれないのに、見たことがない女性だ。

「あの」

女性は静かにこちらを見る。

「おはよう、ございます」

刹那、曇った顔をする。

しかし、すぐさまさっきの表情に戻る。

一つ会釈をするだけで、彼女は町に視点を戻した。

俺は彼女が何を思っているのかはまったく読めなかった。

始めてあった相手なんだから、当たり前の事だ。

「ここは綺麗な世界ですね」

女性はか細い声を出した。

しかし、それは綺麗な声で落ち着いた。

「そうですね。俺も気に入ってます」

俺はこの町でずっと暮らしてもいいと思うくらいだ。

「今、あなたは幸せですか?」

初対面なのに、不思議な事を聞いてくる。

「ええ、まあ、今、ここにいられる事は幸せなんじゃないかなと思いますよ」

「それは、良かった」

彼女は俺に笑いかけ、木の周囲を回って姿を隠す。

少しじっとしていたが、彼女が再び出てくる気配はない。

木の裏側に回るが、そこには誰もいなかった。