「おはようございます」

一階に降りると、伯母である渚さんが立っていた。

「うん、おはよう」

ここの家族はいつ見ても綺麗だとは思う。

後、渚さんの旦那さんに耕一さんもいるのだが、今はいないようだ。

俺は歯磨きを終えると、学校に行こうと玄関に向かう。

「朝食は取らないのですか?」

「うん、ちょっと行きたい場所があってさ」

それは朝食を取っていては間に合わない場所だった。

夢を信じているわけではないのだが、行かなければ行かないような気がしてきたのだ。

「気をつけて行って来てくださいね」

「うん、いってきます」

俺は渚さんと別れ、ある場所に向かう。

外界はいつも見ている風景なのに、ずっと昔から知っているような気がしてくる。

デジャブというものだろうか。

俺が生まれてくる前にここがあるとも思えないんだけどな。

そして、学校を通り越し、更に足を進めた。

俺がたどり着いたのは、町を見渡せる丘だった。

そこには桜の木が一本立っている。

今は桜が満開で、見ていて魅了されてしまう。

「相変わらず、歩くとちょっと遠いな」

そこには、俺よりも先客が来ていた。