俺は自分の部屋で目を覚ました。

「ふぁあ」

六畳間の部屋。

勉強机に俺が寝ているベッドがある。

傍には高校生の制服がかけられている。

目に入ったのは、四月のカレンダーだ。

いつもと変わりのない世界。

俺にとってはそれが平和であり、充実していると思っている。

足りない物もないと思ってる。

俺は眠たげな目をこすりながら、窓を開く。

「今日も、いい風だな」

目覚ましがなるよりも前に目覚めても、二度寝しようとは思わなかった。

ただ、今日は起きてから、不思議な感覚があった。

長い夢を見ていたような感覚がはっきりと残っているのだ。

夢のはずなのに、少し覚えていたりもする。

でも、結局は夢に過ぎないと思う。

なぜなら、不思議な力なんてものはこの世にはないからだ。

あっても、俺には関わりなんかない。

「そう、だよな」

俺は制服に着替えると、部屋から出る。

俺の隣にも部屋がある。

そこには、俺の従姉にあたる吟ネエが住んでいる。

吟ネエは俺の憧れの人であり、好意を抱いている。

今日はまだ寝ているようだ。