俺の精神だけイヴァンの体の中に残った。

俺はイヴァンの体を操り、外の世界を見た。

「これは」

俺の周りには、俺が鉄球で見ていた時よりも被害が広がっていた。

俺は自分の体を見ると、イヴァンのままのようだ。

融合した後の起こった事に大体予想はついた。

「兄さん、ね」

目の前には、神々しく輝きながら髪の色も変わっている千鶴が立っていた。

「どうしたんだよ、それ」

「兄さんに言わなくちゃならない事があるの」

いいにくそうな顔をしている。

「赤い霧はこのままでは戻らない」

「そうか」

世界が終わらないというのはこの事だったのか。

「それは分かったけど、今は皆を治すのが先なんじゃないのか」

千鶴は首を横に振る。

「兄さん、今の世界では滅びるしかないの」

「どういう意味だよ」

「私は兄さん達に幸せな生活を送って欲しい」

「おい、千鶴、お前、馬鹿な事を考えてるだろ」

「ごめんね、兄さん」

千鶴が腕を上げようとするのを止めようとした。

しかし、遅かったらしい。

上げた瞬間に、俺は眠気に襲われた。