鉄球を投げた後、時が止まったかのようにイヴァンは動かなくなった。

「う、ぐう」

両腕を失った子鉄は苦悶の表情を浮かべながら膝を突く。

「子鉄さん!」

千鶴が子鉄の元に駆け寄る。

「まったく、ついてないわね」

子鉄の心境は、両腕がなく途方にくれていた。

夢魔も近寄ってくると、傷口を見る。

「傷ぐらいは癒せるだす」

「はあ、はあ、助かるわ」

夢魔は目を瞑り、傷口に手を当てる。

数分後には傷口がふさがる。

「あんた、やっぱり出来るじゃない」

子鉄は両手を失いながらも、落ち込みを見せる事がない。

「オラには、これしか出来なかっただ」

「丞ちゃんなら、十分って言うわよ」

「ちょっと、あんたら」

続いて近づいてきたのは、摩耶だ。

「ここは、一体どこなん?」

「そう、あんた達は何も知らないのよね」

「知るわけないやんか。パパの下に戻られへんの?」

「今は、無理ね」

龍姫は今にも朽ち果ててしまいそうなほどに疲弊している。

傍には琴がついて回復させているが、状況は一向によくならない。

「せめて、あの子達が安全に過ごせる場所に落ち着かせたいわ」

数人の子供達は震えながら、離れまいと固まっていた。