俺はイヴァンと交じり合っていく。

俺が使ったのは『融合』である。

イヴァンの体に入れば融合が行われたと思ったが、そうではないらしい。

他人が入る余地があったからな。

しかし、何人も他人が入ることが出来るということは、イヴァンにはそれだけのスペースがあったという事だ。

それがどういうことか。

多重人格になる可能性があったのか。

それとも、心がないのか。

それは、俺にはわからない。

「何故、抵抗しない?」

イヴァンならいつだって抵抗できる力があったはずだ。

「君が何をしようが物語は終わらない」

「最後まで、胸糞の悪い野郎だな」

「君に言われたくはない」

俺の意識は閉ざされていこうとしていた。

「丞」

吟が心配そうな瞳で俺を見ている。

「いいさ。もう、これしか方法がなかったんだ」

「さあ、この先、君の思い通りになるのか楽しみだ」

自分が自分でなくなる。

いや、確かに自分という存在はあるが、それは自分だけの物ではない。

イヴァン=カナシュートであり、葉桜丞になってしまったのだ。