徒歩から、ゆっくりと加速していく。

「確かに、お前はすごいよ」

そして、拳を握り締める。

「一人でここまでやってこれたんだからな」

イヴァンは背中から手を出す。

「誰かに頼らなきゃ俺にはできねえ」

俺は全身系を目に集中させる。

「でもよ、身近な人を殺してまで手に入れた物なんていうのはな、偽りの勝利でしかねえ」

腕の一つ一つを回避しながら、イヴァンへと近づく。

「お前に言っておく」

目の前にきた拳を俺は紙一重で回避し、カウンターを放つ。

「こんの、馬鹿野郎があああああああ!」

拳がイヴァンの頬を捉える。

しかし、吹っ飛ぶ事はない。

「単純な事しかいえないのか?」

イヴァンの俺を見る目は酷く冷たい。

「単純な事もわからないのか?」

俺は睨み返す。

「不本意な事だがな、物語もいつかは終わりを告げるんだよ」

「君は自分が勝ったと思っているのか?」

「勝ちでも、負けでも、ここまでやってきたんだ。この一撃に迷いはない!」

俺は能力を発動させた。