イヴァンの深層世界。

周りは暗いが上空には光がちりばめられている。

まるで夜空のようだ。

しかし、よく見ると何かの映像のようでもある。

イヴァンの記憶なのだろうか。

見たことのある映像もあるし、まったく見たことのない映像も流れている。

普段着を着た俺が立っていた。

足場はしっかりとしており、草原のようにだだっぴろい世界だ。

俺はしばらく歩いてみる。

どこに何があるかなんていうのはわからない。

だが、歩かなくてはならないような気がしたのだ。

ふと、目の前には二十四インチくらいの正方形が現れる。

そこに映し出されたのもまた、イヴァンの記憶だ。

このビジョンはイヴァンの視点でつづられているようだ。

ビジョンの中にいるのは、女性だ。

金色の髪にたれ目、小さな口、穏やかという言葉が似合っている。

中世洋風という飾りが散りばめられた部屋の中で、綺麗なドレスを着用しながら椅子に座ってイヴァンに微笑みかけていた。

イヴァンの関係者か。

「それは、姉さ」

暗闇の向こう側から歩いてい来るのは、当事者であるイヴァンだった。

イヴァンは服で包まれている。

「イヴァン、テメエの時間を止めにきたぜ」

イヴァンと姉の間にあった事など、俺にとってはどうでもいい。

過去をしれば、イヴァンが何故、このような事を起こしたという理由がわかるのだろう。

それに姉が関わっているのかもしれないのだろうがな。