俺達が転移した場所は、俺達が元いた世界だ。

「こんなところまで戻されたのかよ」

俺達の他に、クルトと夢魔もいる。

敵の二人以外を転移させたのか。

「感謝しておいたほうが、いいな」

学ランはもう生きてはいないだろう。

あいつは自分のやっている事は正しいと思っているにしろ、俺達を殺す事が間違いであるという事を理解したのかもしれない。

「あのままじゃ、速攻で殺されてたかもね」

子鉄も理解してしまっていたらしい。

「奴が目を覚ましたという事は、ここから出てくる可能性がある。離れるぞ」

「しかし、残念ですねえ。私としてはあの白い女性と死地のやりとりが出来ると思っていたのですがね」

「あのな、お前といえど、近づく前にイヴァンにやられるわい」

「おやおや、私の身を案じてくれるとは、お優しいですね。今日の晩御飯はめざしデラックスをお勧めしますよ」

「んなもんいらん。それより、お前は夢魔に傷の手当てでもしてもらえ」

夢魔に頼み、皆の傷を癒し、その場を動く事にした。

美咲。

死体はあそこに置いてある。

「せめて、この世界で眠らせてやりたかった」

「仕方がないわ。今戻る事も出来ないのよ」

「ああ」

今は、退避することが先決だ。

「子鉄」

「何?」

「お前に頼みがある」

「言ってみなさい」

「お前の鉄球に全てをかける。それを、あいつに投げてくれ」

「効果あるの?」

「お前の鉄球の術は負けないと信じてる」

「根拠がないわ」