俺は闇の力を飛ばそうとする。

しかし、技が出ない。

「こんな時に」

先ほど使いすぎたせいで、枯渇しかかっているのか。

一度、時間を稼ぐしかないようだ。

そうこうしている内に、クルトは消失した。

「クルト、くそ!」

「安心、しろ、奴はまだ、力は出していない」

声を出したのは、倒れている学ランだ。

手を上げているところ、クルトを転移させたのか。

「お前、何で」

「一度目の借りを、返しただけだ。そして、二度目の、借りも、返す」

「ちょっと、待てよ!」

俺達の体は転移し始める。

学ランは無表情のまま目を閉じるのが、視界に入った。