「意外と早起きじゃねえか」

「弱気妖魔が、よくここまでたどり着いた」

ゆっくりと立ち上がる。

イヴァンのよく分からないプレッシャーが、俺達を支配していく。

原初なる者の力を支配したとでもいうのか。

原初とは初め。

神に近い存在である事は分かる。

しかし、神に近いというだけで、無敵ではない。

どういう攻撃を仕掛けてくる?

白い女の横に立ち、頭に手を置く。

「何が、目的なんだよ?」

「世界の変革」

「結局は、世界を変えるだのなんだのっていう考え方かよ」

「根底からの覆し。すなわち、人間も妖魔もいない、新時代を生み出す」

ある程度は、範囲内の答えではある。

今の世界を要らない物として捉えているわけだ。

改革派や秋野さんの考えよりも、性質が悪い。

「そのためには、新時代を築くための知識、理解が必要だった」

「その知識を手に入れて、理解をしたっていうのかよ」

イヴァンは自分の掌を見つめている。

「今、原初を理解し、力を使う事が出来る」

「あんた、原初なる者と融合したのね」

「ふ」

イヴァンは笑う。

「従えなどとは言わない。お前達はここで終わる」

イヴァンが見た先は、クルトだ。

「待てよ、待ちやがれよ!」