「クルト、お前はどうする?」

うなだれているクルトに問いかける。

「オラは」

「俺はお前の望む答えなら、否定はしない。それが死を選択するかもしれない事だったとしてもな」

死ぬのは怖い。

誰しもがそう思う。

クルトのことが大事であるのなら、行かせないのが正解なのかもしれない。

でも、俺は本人の意思を尊重する。

最後まで、そのスタンスは変えるつもりはない。

「最後になるかもしれないしな。ちゃんとお前の答えを聞いておきたい」

「オラも行くだ」

つぶやくように答えを述べた。

「そうか」

「オラは嘘をついただ」

納得しかけたところで、再びクルトが言葉をつむぐ。

「覚悟があるといいながら、本当は、覚悟なんか出来てなかっただ」

「ああ」

「このまま、このまま終わらせたら、オラは本当にダメな奴で終わるだ」

「お前の好きなようにすりゃいい。その代わり、もう自分に嘘はつくんじゃないぞ」

「分かっただ」

クルトの表情は険しいままではあるが、意思が砕けたわけではない。

「琴も行くにゃ!」

琴が俺の頭の上に乗り上げて、元気のいい声を出した。

「いいのか?」

「一人は嫌にゃ。だから、丞ちゃんと行くにゃ」

「そうか、分かった」

しばらくして、俺達は歩き始める。