美咲を横たわらせ、見守る。

「絶対に、終わらせるから」

以前のような死ぬ間際の笑顔はない。

「リナ、お前はどうする?」

「帰りたいけど、道がわからないだす」

「俺達が来た方角が帰り道だが、外のほうが瘴気が濃いし危険だ。ここで待っておいたほうがいい」

美咲の分の防衛道具をリナに渡しておく。

大きさを合わせるためにリナは人間サイズへと変化を遂げた。

敵は全滅させておいたから、問題はないだろう。

「わかっただす」

俺達はリナを置いて歩き始める。

「丞ちゃん」

琴が隣を歩きながら、俺の名前を呼んだ。

「どうした?」

「琴が一緒にいるにゃ」

俺を気遣った言葉なのだろう。

「ありがとうな」

ジャスミンの歩く速度が遅い。

リナに回復させてもらっているはずだがな。

俺の腕も回復しているが、何とかくっついているだけの状態である。

「千鶴」

今表に出ているのは千鶴だろう。

「私が、いけないんだよね」

「悪いと言えば、お前の気が済むのか?」

千鶴は黙る。

「やることは残っているし、美咲はそのために犠牲になった。心が壊れそうになったとしても、俺達は止まることが出来ないんだよ」

泣き続ける時間があるのなら、俺だってそうする。

しかし、もう時間はないのだ。