暗闇をライターの火で守られているかのように、光を放っていた。

「どこまで続いてるんだ」

どこを歩いているのかは三人とも分かっていないだろう。

正しい地図なんてどこにもないのだからな。

しかし、道があるという事はどこかに繋がっているという事だ。

美咲は周囲を警戒しながら歩き、ジャスミンはいまだに不満を口に出していた。

「丞」

「どうした?」

「もし、ね」

「ああ」

「もし、私たちがイヴァンを倒したとして、世界は元に戻るのかな?」

俺は答えをもっていなかった。

妖魔をおかしくさせる霧。

元凶はイヴァンである事に間違いない。

でも、うまい具合に排除されるじゃどうかといえば、明確な答えがないのだ。

誰かが実験をして、結果があるわけでもない。

ただ、漠然と、イヴァン=カナシュートという妖魔を屠るだけという答えがあるだけ。

「イヴァンの目的って、何なんだろうね?」

霧を意図的に出しているとするのならば、世界にとって悪影響をもたらす思考を持っている。

だが、霧が勝手にイヴァンの体から出ているとするのなら、それは目的の一部でもないという事だ。

「あいつの目的がはっきりとした物ではないにしろ、どうにかするしかないのははっきりしてるだろ?」

「そうだね」

「美咲、お前はあいつに対して、どう思ってるんだ?」

気持ちはないだろうと決め付けるのはよろしくない。

死者の俺に気持ちがあるなんていうのも決め付けられない。

今の美咲の気持ちはどこにあるのか。