妖魔06~晴嵐~

「よっと」

女性の背と膝の裏を持ち、抱えます。

「今日は洋子がいないんだ、存分に楽しもうじゃないか」

「あんた、何言ってんのよ!?」

「お前さんも満更じゃないんだろ」

「ふざけるんじゃないわ!Мудак(クソ野郎)!」

拳を振るいますが、焦りからか、当たりません。

そして、能力を使う事を忘れているようです。

「外国の妖魔なんていつぶりか。じゃ、後はお前さん達で頑張れ」

攻撃を回避しながらも、彼は去っていきました。

残るのは鼻血を噴出している、ネロさんだけになります。

「失態、だ」

「あの、これで鼻血を拭いてください」

マリアさんがピンクのハンカチを渡します。

「ありがたく使わせてもらう」

鼻を拭きながら立ち上がります。

「お前たちは、強いな」

「いえいえ、あなたならば特売日の品物を制覇できるでしょう」

「俺は、間違った事をしたとは思わない。俺の願いは、お前たちを倒さなければ、成就しないのだ」

「それはそれは。私達が死地に行く事で、どうやって成就させるおつもりなんですかね?」

「イヴァンが叶える」

「イヴァンさんですか」

少し話しに聞いた事がありますね。

「願い事はいえない。そして、次こそは、命を頂戴させてもらう」

「おやおや、死地の勧誘を熱心に行っていただけるのはありがたいですね。まあ、次は摩耶さんのメザシ料理でも食べてもらいましょう」

そして、ネロさんは走って去っていきました。