妖魔06~晴嵐~

風間さんは拳を放つために肘を引きます。

しかし、風間さんの腕の白い袖は紅く染まっていきます。

そして、彼自身の動きは完全にストップしてしまいました。

「はあ、はあ」

ロベリアさんはつかれきった顔をしていますね。

先ほどの攻撃のダメージは大きいようです。

今、ロベリアさんは何をしたか。

ロベリアさんの能力が何かを考えれば、何となく分かります。

彼女の能力は風ですね。

風間さんの腕が先ほど斬れたときに、血管内に直接、風(空気)を埋め込んだのでしょう。

しかし、風間さんが遠くにいれば範囲外になってしまうようで、近くで風を操るしかなかった。

ただ単に風で相手を切り裂いては、打ち破られる又は回避される可能性があったかもしれません。

だからこそ、血管内に風(空気)を埋め込み、彼の息の根を止めたという事になりますね。

「まだよ!」

野川さんはモーションを続け、鉄球を投げつけます。

鉄球は風間さんのほうへと飛びますが、風間さんは回避できずに再び頬へと当たります。

そして、死んだはずの風間さんは鉄球の衝撃を物ともせず引いていた肘を前へと突き動かします。

鬼の手はロベリアさんのお腹を突き抜けました。

「王子、さま」

「一人」

腕を引き抜くと、ロベリアさんは地面へと倒れてしまいました。

そして、風間さんは頬にぶつかっている鉄球を取り、地面へと落とします。

「神の元に逝け」

今度は私達の方向へと足を向けて、歩き始めます。