妖魔０６～晴嵐～

「ぐ」

「ロベリア！」

「大丈夫」

口元についた血を手で拭いながらも、立ち上がります。

「浅かった」

体のところどこに刺さったナイフを何事もなかったかのように抜き取りました。

傷口は消えていきます。

最後に落ちていた腕を拾い上げ、くっつけます。

「あんた、そこまでの回復力はなかったはずよ」

「神からの贈り物だ」

そして、何度かステップを踏みました。

「すぐに終わらせよう」

再びロベリアさんのほうへと進み出ます。

「こっちも、そのつもりよ」

「おやおや、私としてはもう少し楽しみたいのですがね」

「ロベリアが負傷した以上、相手の出方なんて伺ってられないわ」

「焦ってますね。こういう時こそ、お茶でも飲んで落ち着かせるのも悪くないかと思いますよ」

「かもね」

野川さんはロベリアさんのほうへと走り出します。

私は、周囲の様子を見る事にしました。

ロベリアさんは動き出そうとしますが、一撃のダメージの大きさから先ほどよりも数段動きが落ちています。

野川さんは走っている途中で止まり、地を滑りながらも投げるモーションにはいります。

そして、風間さんはロベリアさんの近くに辿り着きます。

「私は、まだ終わらない」

ロベリアさんは再び風間さんに手を向けました。