私、野川さん、ロベリアさんの三人一行は目的地へ向かうために歩いています。

先ほど落ちてきた時に、ロベリアさんが風を吹かして衝撃を和らげていただきました。

しかし、場所を答えたいのは山々ですが、地理関係を多少知っていてもよくはわかりませんね。

周囲が真っ暗ですので三人分の電灯がついたヘルメットを作り出し、被りながら歩きます。

「あんたは、こういう時は役に立つわね」

一番前を歩いていた野川さんは、褒めてくれます。

「あなたに評価をつけていただけるのは光栄ですね」

「人の話を聞いてないわね」

「おや、今日は耳掃除はしていたはずですがね」

「そういう問題でもないの、だけれどね」

彼女は物思いに耽る顔は、美術の展示会に展示されている絵画のようですね。

「ロベリア、あんたは丞ちゃんと一緒にいたのよね?」

「はい」

「あんたといた丞ちゃんはどうだったの?」

「王子様は、傷ついてでも前に進もうとします」

「そう」

妖魔の里では彼は一人で先行していきましたからね。

「女関係では?」

「お姫様が、大好きな方でした」

ロベリアさんは少しうつむき加減ですが、気分が悪いのでしょうか。

摩耶さんの手料理をもってくるべきでしたかね。

「お姫様、ああ、あの人か」

野川さんは何かを思い出したようです。

記憶力のよさには感服してしまいますよ。

「でも、もう、居ないんです」

「そう」