致死量のダメージで、刻々と死が迫っている。

動けぬまま、今まで起きた事を思い返す。

改革派で自分自身のやってきた事。

俺は何一つ、達成できなかった。

妖魔の世界を手に入れる事は、夢に終わる。

「燕」

今から、燕を一人にしてしまうのか。

「いや」

我が子の顔を見る事もないだろう。

だが、それも覚悟の上でここにいる。

後悔がないわけではないが、仕方のない事だ。

俺は、一人で勝てなかったのだからな。

「おい」

クルトが俺の近くに寄ってきた。

「お前、か」

涙を拭っても、泣いたと解るほどに後が残っている。

「すまねえだ」

「お前に、謝られる筋合いは、ない」

クルトは自分の目的を完了した。

ここで帰るのも間違いではない。

「さっさと、どこにでも、いけ」

「お前は、どうなるだ?」

「知る、か」

目を開ける力もなくなってきた。

「面倒、くせえ」

死ぬのか。

クルトが何かをいっているが、俺の耳も正常に機能しなくなってきている。

考える事もままならないままに、しばらくすると五官を失った。

俺は自らの世界に別れを告げ、闇へと落ちた。