妖魔06~晴嵐~

「く!」

上から先ほどの男性が降ってきます。

手刀を振り下ろしてきたのを、サイドステップで回避しました。

「おやおや、私には特売日のデパートよりも死地に行って欲しいのですかね」

「そうだ」

ネロという方は女性の前に立ちます。

「ちゃんと答えてくれるあなたは律儀な方ですねえ、感心しますよ」

「お前達には死んでもらう、俺達の願いのために」

「自分の願いのために人を殺すなんて、間違ってます」

私の背後にいるマリアさんが熱弁しています。

彼女は他人の命まで気に掛けてくれる、立派な人なのでしょう。

「誰かが不幸になる事で得た願い事など、大きな後悔を生むだけです」

「大きな後悔と同時に大きな幸福を手に入れられるからやる。それだけだ」

「そして、後悔と感じない貴方達は悔い改める事をオススメします」

マリアさんは一息はきました。

「話を、聞いていないな」

「貴方達は即刻、戦いをやめるべきです」

「実行するまでだ」

「お前さん達、いい女を連れてるじゃないか」

タバコを吸いながら、歩いてくる男性がいますね。

「ふう、裸のねえちゃんに修道服、こりゃ当たりだな」

確か、退魔師の中でも屈指の強さを誇る葉桜蛍さんでしたか。

「新手か」

「ネロ、この状況、ヤバくない?」

「作戦を立て直すしかない、か」

彼が能力を発動させようとしましたが、発動しません。

「これは」