奥に進むが、暗闇のままで変わりはない。

クルトの以外のニオイは胸糞が悪くなりそうだ。

里にいれば、絶対に味わう事はない。

「まさか、人間よりも性質の悪いクソがいたとはな」

悪態をつきながら、歩き続ける。

前は見えないが、壁にぶつからないところ一本道だ。

そして、俺とクルトとの距離は一定だ。

足の長さからしてクルトが早足で歩こうが、すぐに追いつく。

しかし、馬鹿なのか?

もし、クルトの言う敵がいたとして、何も見えない状態で早足で歩くという事は、次への反応が少し遅れるという事だ。

俺を先に行かせていれば、自分の行動に無駄がなくなるのだがな。

「どうでもいい」

クルトがどうなろうが、最終的に辿り着けばいい話だ。

里には燕を残してきた。

俺が油断した隙に、自分に俺の子供を身ごもらせるアホをな。

霧の影響を受けさせないために、笹原妹に渡された呪符を渡しておいた。

いくら燕でも、自分の意思がなくなる事は不本意だろう。

俺だって、不本意だ。

燕にはまだまだ言い足りない事だってある。

燕を生かすためには、早く解決を図って戦うしかないだろう。

今、改革派は存在しないが、俺は常に改革派の心を持っている。

今の世界が自分の子に向いているかどうかといえば、違う。

改革させ、自分の子が住みやすい世界を築かなければならない。

その時には人間のいない世界であればいい。

いつの話になるかは分らないがな。