「ここはどこだ?」

周囲は暗闇に包まれている。

他の奴らと逸れたようだ。

居れば面倒だし、必要はない。

しかし、一つだけ傍にニオイがする。

「そこにいるのは、クルトとかいう野郎か?」

「オラは野郎じゃないだ」

不満の声をあげるがどうでもいい。

「ち」

あまり話した事のない妖魔と一緒になってしまったのか。

面倒くせえ事になりやがった。

クルトを放っておいて、俺は一人歩き始める。

「どこに行くだ!」

「知るか」

地図も何もない。

立ち止まっていても埒があかない。

ならば、進むしかないだろう。

俺の隣をクルトが早足で進んでいく。

「ああ?」

「この先には、オラの獲物がいるだ。お前はゆっくり来てればいいだ」

「喧嘩売ってんのか?」

「そっちが喧嘩を吹っかけてきただ」

むかつく野郎だ。

だが、どうでもいい。

一人で野たれ死のうが、自分の責任なんだからな。

俺は足の速さは変えず、クルトの背中を追う形で歩いていく。

「たく、ついてねえ」