周りが見えない。

俺は懐を探り、タバコの箱を見つける。

その中には、ライターが完備されているようだ。

親父が何気に気を利かせてくる。

「よし」

着火させて、前にいる人の女の子の顔を見る。

「美咲」

「本当、びっくりしたね」

美咲が苦笑する。

「ちょっと、姉さんはどこよ?」

少し離れた場所から、ジャスミンの声がする。

「ジャスミン、お前もいてくれたのか」

「そんな事よりも、姉さんいないの?」

「見たとおり、逸れたよ」

「どうにかしてよ!姉さんのニオイがないと、耐えられないわ」

「はあ」

頭痛がなりやまない。

「ジャスミンって、すごくお姉さん思いなんだね」

美咲が関心したように台詞を吐いた。

「思いじゃなくて、愛してるのよ」

真剣な表情(といっても鎧を着てるのでよくわからない)で言う。

「美咲、もう放っておいてやってくれ」

正真正銘の愛だが、一つ間違えば以前のようなものになる。

今が一番いい塩梅だというところだ。

「とりあえず」

全体を見渡すと、奥は通路のような物になっているようだ。

「行くか」

「うん、そうだね」

「姉さん、私はここよ!」

一名を放置プレイしておきたかったが、千鶴の体でもあるので引っ張りながら前へと進む事になった。