「クルト、頼んだぜ」

歪みに穴を開けて、奥へと入る。

そこからが、始まりだ。

「丞ちゃん」

クルトが穴を開けようとしてるところで、子鉄が話しかけてくる。

「ん?」

「例え私達に何があろうが、最後まで千鶴を守るのよ」

子鉄は最初から、覚悟のある瞳をしている。

「ああ」

全てを守るだけの力はない。

でも、俺は行かなくてはならない。

それこそが、今立っている意味だ。

「開くだ!」

開いた穴から瘴気があふれ出す。

「行くぞ!」

瘴気の勢いを広まらせないために、一斉に穴の中へと駆け足で入る。

「え?」

刹那、俺達は奈落の底へと落ちる事となった。

「早速かよ!」

上空の穴は閉じ、暗闇にさらされた世界。

俺は、傍にある手を掴む。

他の皆も落ちていくようだ。

傍にいるのは誰かは分らないが、俺の手を握り返してきた。

相手が男なら最悪だが、握り返すような野郎はアカ・マナフくらいだ。

しかし、手の感触は女性の物であった。

そして、地面へと降り立った。

身体能力が高くなっているおかげか、足を折る事はなかったようだ。

相手の女性も妖魔だからこそ、普通に立っている。