「パパ、ウチは待ってるからな!」

摩耶は一言残し、家へと帰っていった。

「お前、本当にいいのかよ?」

「おや、私の心配をしてくれるとは」

「はいはい、分ったよ」

「おや、私の話を途中で中断させる術を見につけたあなたの順応さに感心してしまいますね」

アホは最後まで話を続けるつもりだ。

「行こうぜ」

「丞ちゃん」

背後から呼び止められる。

そこにいたのは武装した子鉄だ。

Tシャツとジーパンという動きやすい姿だ。

腰に身に着けているのは鉄球と刀。

そして、胸元に釣る下げられてるのはナイフだ。

「武装してるな」

「師匠と瑠璃子からの餞別よ」

刀が丸のおっさんで、ナイフが瑠璃子か。

「コレをあんたに」

俺に投げられたのはタバコの箱だ。

「これは」

「蛍さんからよ」

珍しい事もあるもんだ。

息子であっても、男の俺には興味ゼロの奴がな。

多分、親父考案のタバコ爆弾だろう。

中に何かが入っている。

『俺は洋子とバカンスに出かける。俺の愛娘の千鶴を守らなかった日には、拳骨千発だ』

親父の拳骨千発も食らえば、確実に死ぬ事は間違いないだろう。

世界の命運をかけた時にバカンスってなんだよ。

どれだけ女遊びが好きなんだよ。

「あれ、まだ続きがあるのか」

『俺は一度世界を救ってるから、後はお前がどうにかしろ』

お前が活躍した事なんて、あったのか。