たまっているであろうジャスミンの疲労を治す。

さすがに、全快で勝負を挑まなければ勝てるかどうかわからない。

「ロベリア、ジャスミン、クルト、少しだけ先にいっててくれ。俺もすぐに行く」

「王子様?」

「大丈夫。今度はお前を置いていきはしない」

笑いかけるとロベリアは安心したように、魔方陣から出て行く。

ジャスミンとクルトも出て行ったようだ。

「姫ちゃん、今までありがとう」

「丞ちゃん、そなたの匂いを身に刻んでおきたい。ワラワを抱きしめてくれぬか?」

「ああ」

大人の龍姫を抱きしめる。

母親のような、何か懐かしい匂いがする。

「ずっと大切に思ってくれていて、傷の手当てなどもしてくれて、いくら礼をいっても足りないくらいだった」

「丞ちゃん、ワラワはそなたが会いに来てくれるだけで満足じゃ。だから、最後などと言われたら、ワラワは」

少し涙声になっている。

「そなたと離れとうない」

「龍姫」

龍姫とは長い付き合いだった。

俺も離れたくはないが、仕方のないことだ。

「吟も、そなたも、ワラワを置いて、いってしまう」

「すまない」

「馬鹿者。ワラワのわがままに謝る必要などあるまい」

龍姫が俺から離れる。

「そなたはそなたの役目、ワラワはワラワの役目がある。それが少し違えただけじゃ。常に一緒にいられるわけもあるまい」

涙を着物でぬぐい、笑顔を見せた。

「そなた自身で決着をつけてくるが良い」

「ああ」

「またの」

「ああ、またな」

俺は魔方陣に乗り、龍姫に別れを告げた。