最後のは人間に対しての道具だったのだろう。

いくつか入っているようだ。

「俺には、必要ないか」

ある分は全て他の皆にまわそう。

「ロベリア、ジャスミン、これを」

ロベリアは七分丈のシャツとチノパンに運動靴の上からブレスレット、ネックレス、ベルトを見につける。

ジャスミンにも渡しておく。

「クルトは?」

「奥で寝ておる」

「そうか」

「紅玉」

龍姫がこの場にいない紅玉を呼び寄せる。

「はい」

いつの間にか紅玉が寝ているクルトを抱えていた。

「無理に起こす必要はないんだけどな」

でも、クルトを置いていく事は出来ないな。

最初に敵の世界に繋がる『穴』を見つけたのもクルトなのだからな。

「クルト、いいか?」

「ん、むにゃ、何だ?」

目をこすりながら、紅玉の腕の上で目を覚ます。

「行く時間だ」

「ん、そうか」

頭を振って完全に覚醒し、腕から降りる。

「お前も、これをつけるんだ」

「何だ、これは」

「お前がちゃんとした体調で姉と対峙できるために、作ったものだ」

クルトは何も言わず、素直に受け取った。

利用するべきものは利用してもらわなければ、俺としても困る。

少しでも、生きて欲しいんだ。