何とか廃ビルの前に辿り着く。

「龍姫は、出てこれるか?」

龍姫を呼ぼうとすると、眼前に空間の歪が出来る。

「君は運がいいね」

「ライン」

ラインが空間の裂け目から俺の前に出てくる。

「今、君に道具を持っていこうとしていたところさ」

隣にナンバー01が袋を抱えている。

「ライン、龍姫の世界に連れて行ってもらえるか?」

「残念だが道具を渡す事は出来ても、君を連れてはいけない」

「何か制約があるのか」

「察してくれればこちらとしても助かるがね」

ナンバー01が袋を俺に渡してくる。

「因果に逆転はない。それを運命といってもいい」

「結果を知ってるようだな」

「それを決めるのは君達の役目だ」

「結果がどうなるかなんてどうでもいいって事かよ?」

「私は欲望にしか興味がない。君達の欲でどの運命をたどるのか、それを教えてもらいたいだけさ」

「終わらせてやるさ」

「夢の先に光がある事が君の欲望か。それも、いいだろう。それが君の運命になるとは限らないがね」

「そうかよ」

「頑張りたまえ」

何かを言う事なく、社交辞令だけを述べて次元の裂け目へと姿を消そうとする。

「ライン、ありがとうよ!」

ラインは期待しているといわんばかりにほんの少し笑うと、消えていく。

多分、この先に会うことはないのかもしれない。