「あなたも守る覚悟ぐらいはあるんでしょう?」

「千鶴は、最後の希望だからな」

「姉さんはどうなのよ?」

「ロベリアが俺に対して注いでいる愛情分以上に守るさ」

「何よそれ、ダサい」

「これくらいが、丁度いいのさ」

本当ならば、美咲も子鉄も全て守ってやりたい。

でも、出来ないんだ。

そんな力なんて、俺にはありはしないんだよ。

「あなたらしいわ。そうやって死んで行くのね」

「厳しいな」

苦笑いを浮かべながら、椅子から立つ。

「ちょっと、龍姫のところに寄っていくか」

「そうよ!私は姉さんの匂いをかがないと!」

千鶴の体で何やろうとしてるんだよ。

そうツッコミを入れる前に階下へと下りていく。

俺も階下に降りてジャスミンの後を追った。

しかし、玄関を出た先にはジャスミンが倒れていた。

「ジャスミン!?」

傍に駆け寄ると、意識はあるようだ。

「何か、足にガタ来てる」

本人は無茶をしているわけではないようだが、体は正直なのだ。

「はあ、一応、千鶴の体でもあるんだからな」

「分ってるわよ、そんな事」

俺は千鶴の体を負ぶって歩く。

しかし、霧が濃いせいで、前が見えにくい。

道は覚えてるが、厄介である事には違いない。