時間が刻々と過ぎていき、朝になる。

立ち上がり、窓の外を見ても世界は変わらない。

霧が濃くなっているようにも思える。

「いよいよ、か」

世界も終わりを告げようとしているようだ。

妖魔の里は無事だろうか。

千鶴を見る。

眠れずに疲れていたのか爆睡しているようだ。

「時間か」

千鶴の答えを待つか。

そのために、俺は千鶴と会う事にしたのだからな。

千鶴が昔から愛用している勉強机に座る。

「ジャスミン、お前の愛って奴は偉大だぜ」

千鶴の姿が黒い鎧を身に着けた。

「あなたに褒められても嬉しくはないのだけどね」

横になっていた体を起こす。

ジャスミンが千鶴の体を支配したのだろう。

「無茶はするな」

一日やそこらで負担が減るわけがない。

「そこは問題じゃない。この後の事よ」

「お前は、来るのか?」

「姉さんが行くならね」

「千鶴は?」

「本人に直接聞けばいいんじゃない」

多分、同じ体にあるジャスミンは答えをしっているだろう。

「そうか」

「どっちにしても、私は姉さんや千鶴を守るけどね」

最初から決めてたといわんばかりの台詞である。