妖魔06~晴嵐~

ジャスミンの愛には恐れ入る。

俺は大きな隙を生み出すであろう、蹴りを回避する。

そして、一歩踏み込み、ジャスミンを抱きかかえるかのように突っ込んだ。

「行くぜ」

膝蹴りを入れられながらも、俺は勢いのままに龍姫の世界から出る。

人間界に戻ったのは、俺とジャスミンの二人だった。

「このまま行くぞ」

「私は、まだ、あなたを殺していない」

「お前は、その言葉でロベリアを悲しませていると考えてはいないのか?」

うぬぼれかもしれないが、俺の事を気遣うロベリアは確かにいる。

「以前からのロベリアの行動を思い返せ。お前が俺に攻撃しようとした時にどういう行動を取った?」

ロベリアは止めたんだ。

「お前のロベリアに対しての気持ちは凄いものだ。ロベリアも嬉しいだろう。でも、お前がロベリアの知り合いを傷つける事を、ロベリアは良しとするか?」

ジャスミンは考える。

「まずは深呼吸をして落ち着け。俺を殺すという思考を停止させるんだ。で、ロベリアが何を考えているかという思考だけで満たしてみろ」

最初に出会った頃よりは、幾分か落ち着いてはいる。

だからこそ、他人のために考えるという余裕はあるはずだ。

「あなたが一番姉さんを理解しているかのようで、むかつく」

「だったら、お前がそうなればいい。俺は過去の奥底までロベリアを知ってるわけじゃない」

一番よく知っているのは、よく傍にいたジャスミンだ。

俺は出会って間もないからな。

「あなたも姉さんの気持ちを、分ってないわ」

「かもな」

俺は消え行く運命にある者だ。

最終的に一緒にいる可能性があるのは、ジャスミンである。