妖魔06~晴嵐~

「色んな人や妖魔が世界を変えようとしていた。それは、痛みをもってしか成功出来ない物だった」

俺は思ったことを口走る。

「そうね」

「でも、それは個々によって違っていてさ。皆、それこそが正しいと思っている」

「そうね」

「ところどころに良い所はあるのに、少しぐらい認めようとしないから頑固なんだよ。多分、俺も認められないから頑固なんだと思うんだけどな」

「馬鹿よね。自分が苦しい思いをしてまで、向かっていくんだから」

「そうしないと、生きたいと思う人や妖魔が無理矢理殺される事になる。偽善行為だとしても、俺は生き物として同じ地位と思ってるから、止めなくちゃならないんだ」

「言語、知能は、お互いにあるからね」

「子鉄、俺の行為は、おこがましいのか?」

「目的を達成させようとする頑固な人や妖魔から見ればそうね。でも、あんたが正しいと思うのならそれでいいじゃない。少なくとも、アンタの行為に賛同した人間や妖魔はいるのよ」

鉄球を上空に放り投げ、受け取る。

「今のアンタは感情と無感情の両方を持ち合わせなければならない」

過去に一度、話をした感情と無感情を子鉄が持ち出した。

しかし、今の子鉄は過去に話をしたことがないので、子鉄にとっては初めてだと言える。

「ああ」

「感情を持ってこそ痛みを理解し、無感情を持ってこそ状況を理解出来る。全てを終わらせるのは、その二つの世界を持ち合わせた者にこそ相応しいわけ」

「お前はどうなんだ?」

俺は再び聞いた。

「私は無感情な人間に近い。だから、終わらせるのは今のアンタよ」