妖魔06~晴嵐~

しかし、普通に話すことは出来ても、状況は以前とは違う。

それだけは確かだ。

「アンタは、何のために戦いを終わらせようとしてるの?」

「何のため、か」

自分の命をかけてまで、終わらせる戦い。

その理由は何なのか。

巻き込まれたから、嫌々という事は決してない。

逃げればいいだけの話だからな。

だけど、逃げてないし自分の意思だ。

じゃあ、その意思の真意は何なのか。

それを、子鉄が聞いている。

「自分のためかな」

「自分のため?」

「守りたい女がいるとか、世界を守るだとか、そういう理由は多々あるけど、全ては自分を満足させるためだ」

守るという行為は自分を傷つけてでもという自己犠牲が含まれている。

他人がどう感じるかは分らないし、損得勘定論が含まれているかどうかなどというのもどうでもいい。

自己犠牲とは、義務や他人の事を思い行動するところにある。

しかし、達成感を得るため(自分のため)の行為だったりもする。

守る、守りたい、守らなければならないという気持ちがあったとして、それは他人のためだけに使われている言葉だろうか。

俺はそれだけで使用されている言葉だとは思わない。

自働的である故に、あくまで自分を満足させる面もあるのではないのだろうかと思うのだ。

そこには自己犠牲が含まれているはずだ。

「そう」

「最後にはやる事やって、満足して死ぬ。きっと、それだけだ」

生きるという選択はない。