妖魔06~晴嵐~

廃ビルは破壊されているので、どう行けばいいのか。

「龍姫!」

「何じゃ?」

という風に、呼べば出てきてくれるわけだ。

しかし、どこから出てきたのか分らないまま、俺に飛びついてくる。

「これから、明日の事について話をしようと思ってな」

「そうかそうか。しかし、そなたは一つだけ間違っておる。ワラワを呼ぶ際には姫ちゃんと言え」

「分った分った」

俺と龍姫のやり取りを静かに見守る子鉄。

「しかし、丞ちゃんが子鉄をつれてくるとは、珍しい事もあるものじゃのう」

姫ちゃんが子鉄の元へと歩んでいく。

「もう、話しても良い頃合だ。むしろ、話すのが遅かったのかもしれない」

「そうか。丞ちゃんがそう思うのならよかろう」

龍姫が転移魔方陣を描いた後に俺と子鉄を掴み転移する。

現れたのは、いつも通りの場所であった。

自分達との世界とは別で、空気が綺麗だ。

「龍姫と知り合いなのね」

「ああ」

俺達は龍姫の部屋へと進んでいく。

そこには、ロベリア、ジャスミン、クルトがトランプをしていた。

今更、修行だとかやっても仕方はないし、回復材料などの物集めは俺が一任しているわけだ。

明日までの時間を一人で考えるよりは、三人でいたほうがいいと思ったのだろうか。

俺が来ると、トランプを止めたロベリアが傍に寄ってくる。

「ただいま」

「おかえりなさい、王子様」

「王子様?」

子鉄が訝しげな顔をする。

「気にするな。それより、話をするんだろ?」

「そうね」