「お前らは、暴走しないんだな」

「龍姫様から頂いた呪符の力だよ」

多分、体のどこかに呪符を貼り付けているのだろう。

「そうか」

今の世界では、妖魔にとっては酷といえよう。

全員分は用意できないとしても、主要人物の分だけ用意してれば問題解決に走る事が出来るわけだ。

「自由に動けるのなら問題はないな」

しかし、クルトが里から出てきたという事は、町の中に姉が存在する。

姉が存在するという事は、居場所を聞く事が出来る。

もしくは、姉とイヴァンが同じ場所にいるという事になる。

もっと言えば、イヴァンの仲間の学ランがいたのだから、イヴァンが近くに潜んでいる確率は高いはずだ。

「姉の居場所は掴んでいるのか?」

「魔力を感じるだ」

「俺もついていくぜ」

「必要ねえだ」

クルトは面倒くさそうな顔をして俺を追い払おうとした。

「倒すのはお前がすればいい。俺には俺の探すべき相手がいるかもしれないんだ」

「イヴァン?」

美咲が聞いてくる。

「奴の手がかりはゼロだからな。一くらいは手に入れておきたい」

「丞、無茶、しないでね」

「ありがとよ」

心配そうな顔をしている美咲に笑いかけた。

しかし、無茶をする以外に勝てる方法はないのだ。

俺とイヴァンの本当の死をもってして終結する。

それが、この戦いの全てである。