執事と共に日常を。

「開けてくれる?」


ユウヤは、半身を起こした。

そして、缶を差し出す恵理夜の手を握った。


「……結局、涙は出なかった」


唇を震わせ、かろうじてそう呟く。


「でも、一歩は踏み出したんじゃないかしら」


恵理夜は、ユウヤの隣に膝をついた。