執事と共に日常を。

「君は、そうしたのか」

「……両親が死んで一年以上過ぎて初めて、泣き叫んだ。それまで葬式でも涙は流さなかったのに」


恵理夜は、昔に、泣き叫ぶのを許してくれた、春樹の腕を思い出す。


「……泣き叫んで、余計に悲しくならなかったか」

「分割して悲しんだまま生きるのと、一気に発散して受け止めながら生きていくの、どっちが得かってことよ」

「……面白い考えだな」