執事と共に日常を。

「ただね、」


恵理夜は構わずに話し続けた。


「私は、上手く泣けなかったの。だから、回復までえらく時間がかかったわ」

「泣けなかった?」

「そう。大切な人の死って、とても大きい悲しみでしょう」

「当たり前だ」

「その悲しみを乗り越えて受け止めるには、泣き叫ぶことが必要なのよ」


恵理夜が泣き叫んでいるのが想像できないように、ユウヤ自身にも当てはまらないと思った。