執事と共に日常を。

「ごめんなさい」


恵理夜は申し訳無さそうに、春樹を見上げている。


「いえ、忘れていった私も悪いですから」


春樹は、何事もないかのようにそれをポケットにしまった。


「春樹、眼鏡なんて掛けてたかしら」

「普段は、問題ないのですが本を読むときなどは」

「ここで、読んでいたの?」

「お嬢様のお帰りを待っていたときに」


静かに、本を読む姿は容易に想像がついた。

ましてや、その整った顔に眼鏡は様になっているかもしれない。