結局、タワラ先生の正体は明らかにならず

悶々としたまま新幹線で帰ってきた。



家に帰るなり、祖父が「お土産は?」と

嬉しそうに聞いてきたのには、何か腹がたった。


お土産を渡すと「さぁ座って、お茶淹れるから」とはしゃいでいたが

母が「父さん、ちょっと・・・」と祖父に耳打ちすると

祖父の顔が急に真剣になって「ん、分かった」と返事していた。



何が分かったんだ?




それから5日後、タワラ先生の話題は家では起こらず

ごく普通に毎日が流れていった。

もちろん、職場では変な人が大勢いて驚く事も多い。


そして昨日、仕事が休みになったので

中学から一緒の親友・リョウちゃんに誘われて

フラメンコ教室に行ってきた。


割と年配のオバサン方が元気良くカスタネットを鳴らしてた。

指導してくれる先生は化粧の濃い太った先生だった。

まるで太いハムが踊ってるように見えた。

サンダルから小指が はみ出て思わず笑いそうになった。


バラをくわえて踊ったら

見てる人達はエサを食ってると思うだろうな。


常に息を切らしてハァハァ言いながら指導してる姿を見てると

動く以上に食事をすると、決してダイエットにはならない事を痛感する。



音楽に合わせて踊ってる先生の姿は、太っていても様になる。


でも、踊り終えた時の様子は

取り組みを終えた後の力士のようで

500mlのペットボトルの水を瞬く間に飲み干してしまった。



さすがにこの姿はリョウちゃんもビックリしていて

「なぁ、私ら間違った道を進んでへんやろか?」と心配していた。