「あ、あの……」
「何もなくてよかった……」
ほっと一つため息をつき、先生は言う。
先生は優しい笑顔で微笑むと、あたしの髪をくしゃくしゃと撫でた。
子供にするみたいに。
「……あの、ありがとうございます」
「いいえ。実験器具は割れると危険なので気をつけてくださいね」
いつも通り。
あたしだけがドキドキしていて、何だか悔しい。
マッドサイエンティストのくせに。
「今日はもう遅いですし、帰っていいですよ」
「はい」
「お大事に。怪我」
「さようなら」
先生はあたしに手を振ると、準備室に戻ってパソコンに向かい始めた。



