紅屑の記憶



「…それは出来ない」


マオの言葉に
イヴは俯いた


……分かってた…
分かってたけど…


マオは人間の世界が欲しい


「私はもう…血を見たくない
あの臭いも…感触も…
こびりついて離れない」


イヴは両手で
顔を覆った


「…リシナだけは…
傷付けたくないの…
お願い…」