紅屑の記憶


「代わりの商人じゃなく
その本人が品物を
取りに来たんだ…
死んだ筈の商人がな」


商人は神妙な顔で
目を閉じた


「信じられないだろうよ…
別に構わない
でもこれは事実だ

あの町が死んだ人間の
蘇る町だという噂は
後を絶たない……」


商人はそう言って俯く



「これは単なる噂じゃない
事実だ…なんだって
この目で見たんだからな

俺だって調べたんだ

その結果、3日前、
間違えなく亡くなって
るのが確認された

あいつの死は事実なんだよ」


商人の言葉にリシナは
考えるように目をつぶった