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ピピピピッピピピピッピッ…

「…ねむーい…」

ゆめこは重い体を引きずりベッドから抜け出して朝食をとるために一階に降りた。

「あら?おはよう、ゆめこ。」
「おはよーお母さん。」
「あんた今日、大学入学式で休みじゃなかった?」
「そうだけどー、入学式の受付役員になったのー。でも…ねむーい…。」
「そう。ちゃっちゃとご飯食べてー、ちゃっちゃと準備しなさいよー。」
「へいへい……っ!」
ゆめこは気合いを入れて立ち上がり、洗面所へ向かった。

リビングに戻ると、朝食が準備してあった。
「いただきまーす。」
「はーい。あんた今日何時に帰ってくんの?」
「えーーー…今日サークル行ってくるから、夕方くらいじゃない?」
「ふーん、そう。」
お母さんと他愛のない話をしていると、チャイムが鳴った。

ピンポーン…

「あーーー!やっばい、由佳きたっ!」
「何、あんた人と約束してたの!!?」
「うん、そう!やばい、まだ着替えてもないよ!」
「早く準備しなさい!ちんたらしてるからよ!」
「はーーい、はいはい!!」
人を待たせるのが嫌いなお母さんに怒鳴られながら、ゆめこは玄関へ向かった。

「おはよ、由佳!ごめん、入って待ってて!」
おじゃましますといって、薄ら笑いで由佳は言った。
「ほんと、相変わらずだねー、ゆめこ。」
「相変わらずじゃないよ!待ち合わせ時間のまだ30分も前じゃん。」
「30分しか、じゃん。慌てるゆめこ、面白いから。」
「何が面白いだ、ばか!おかげでお母さんに怒鳴られたじゃん!」
着替えながら由佳に反抗する。
「知ってる。外まで丸聞こえだったもの。」
さわやかな笑顔で由佳は言った。
「…………おのれ…。」
鏡ごしに由佳を睨む。

「どーでもいいけど、そろそろ本気で準備して。集合時間迫ってますけど。」

「なんでそれを早く言わないっ!?」
「慌てるゆめこが面白いから。」
「……。」
「……。」
あたしと由佳は互いに微笑みあう。



「…おんのれぇーーー!!!!」


それからあたしは、叫びながら半泣きで、さらに超ド級マッハで準備をして大学へ向かった。