『―――瑞穂く~ん!
今度の日曜、遊びに行こうよ!』


教室で響く、異質な女の声。


どこのクラスからやってきたのかわかんないケバい女が、みぃを誘っている。


もちろん、あたしの隣の席で繰り広げられる光景。



『…考えとく。』



考えた後どーしてるのかは知らないけど、こんなみぃを見るといつも、

“やっぱり嫌い”って気持ちが芽生えてくる。


あたしがみぃを好きになることがありえないのは、みぃが相変わらずこんなだから。


ちなみに、この子と付き合っているわけではないみたいだし、同じような子が何人かいる。


あたし的には、こんなののどこか良いのか理解に苦しむけど。


だけど他人の恋愛には、口は出さないのが無難なのだ。





「…女好きだね。」


帰っていった女の子の後姿を確認し、あたしはみぃに向けてため息をついた。



『…そりゃ、男好きにはならねぇだろ。』


もっともな答えだけど、あたしが言ってるのはそんなことじゃない。



「…楽しいの?」


『…微妙?』


いつもの口調で、みぃはヤル気なく答えた。



『…てかヒナこそ、彼氏一筋で楽しい?』


「めちゃくちゃ楽しい。」


何となくムカついて、ぶっきら棒に言葉を投げた。


みぃのベクトルで、あたしまで計らないで欲しかった。


あたしはチャラいみぃの行動なんて、何一つ理解は出来ないから。



『…だって、縛られてる気しない?
何か俺、そーゆーの息苦しい。』


本当に、みぃらしいと思うけど。


やっぱりあたしとは、まるっきり逆の考え方だ。