『―――また俺が実行委員?!
このクラス、俺に何か恨みでもあんの?!』


翌日みぃは、朝から口元を引き攣らせていた。


まぁ誰だって、二度もこんなことをされて怒らない人は居ないだろうけど。


やっぱり不憫に思いながらも、体調管理は万全にしなきゃと改めて思った。



『…女子って誰?
もしかして、またヒナと一緒?』


「あたしじゃなくて、高岡さん!」


不貞腐れて言うみぃに、自分の席で読書にふける彼女を指差した。



『ふ~ん。
まぁ良いや、頑張る。』


予想に反してみぃは、そう言ったのだ。


あたしの時は“押し付ける”とか言ってたのに。



『高岡さん!
隣の席だし、色々頑張ろうね。』


自分の席に戻ったみぃは、本を読む高岡さんの顔を覗きこむようにして笑い掛けた。


瞬間、真っ赤になる高岡さんを、あたしは見逃さなかった。




『…みぃくん、急にどーしちゃったの?
風邪引いて、元々ヤバかった脳みそもついになくなった?』


あたしに耳打ちしながらサクラは、結構失礼なことを言ってくれる。


口元を引き攣らせて何も言わずにいると、サクラは更に言葉を続けた。



『…でもマジで、高岡さんみぃくんのこと好きとか?
隣の席で同じ委員会って、ヒナ大丈夫なの?』


「―――ッ!」


あたしの思っていることが、全部バレてるのかと思った。



「…大丈夫だよ。」



うん、きっと大丈夫。


まるで自分自身に言い聞かせるように、

あたしは燻ぶり始めた一抹の不安を無理やり揉み消した。


なのに現実は、次第にあたしを戸惑いの海に落とすのだ。