―――みぃを初めて見たのは多分、深緑の4月だった。
付き合っていた彼氏が卒業して向かえた独りぼっちの春だったけど、それなりに希望もあった。
2年になって、新しい教室、新しい友人関係。
嫌が応にも早くなった心臓の鼓動を隠し、張り出されていた自分のクラスに向かう。
この前までとは違う廊下を通ると、見慣れていたはずの景色もまるで違って見えた。
ふと何気なく渡り廊下から下を見下ろした瞬間、言葉を失った。
多分この場所からしか見えないであろう体育館裏。
壁に背を預ける男と、その男の首に腕を絡ませている女。
一言で言えば、キスをしていたのだ。
新学期最初の日に、しかもこんな朝っぱらから学校で。
「…ありえない…」
無意識のうちに、言葉は口をついた。
吹きぬける風は、少しの肌寒さを含むものだった。
嫌なものを見てしまった。
それまでの弾む気持ちは一気に消え去り、大きなため息をついて再び教室へと足を進めた。
“チャラい”
それが、みぃの第一印象。
数分経つ頃には、ショックを隠しきれない展開になっていた。
だって先ほどキスをしていたチャラい男が、同じクラスに入ってきたから。
そして、あたしの斜め前に腰を下ろしたから。
“津山瑞穂”
初めて知ったチャラ男の名前。
その瞬間、あたしの中の“絶対に友達なりたくない人”の部類に入れておいた。
付き合っていた彼氏が卒業して向かえた独りぼっちの春だったけど、それなりに希望もあった。
2年になって、新しい教室、新しい友人関係。
嫌が応にも早くなった心臓の鼓動を隠し、張り出されていた自分のクラスに向かう。
この前までとは違う廊下を通ると、見慣れていたはずの景色もまるで違って見えた。
ふと何気なく渡り廊下から下を見下ろした瞬間、言葉を失った。
多分この場所からしか見えないであろう体育館裏。
壁に背を預ける男と、その男の首に腕を絡ませている女。
一言で言えば、キスをしていたのだ。
新学期最初の日に、しかもこんな朝っぱらから学校で。
「…ありえない…」
無意識のうちに、言葉は口をついた。
吹きぬける風は、少しの肌寒さを含むものだった。
嫌なものを見てしまった。
それまでの弾む気持ちは一気に消え去り、大きなため息をついて再び教室へと足を進めた。
“チャラい”
それが、みぃの第一印象。
数分経つ頃には、ショックを隠しきれない展開になっていた。
だって先ほどキスをしていたチャラい男が、同じクラスに入ってきたから。
そして、あたしの斜め前に腰を下ろしたから。
“津山瑞穂”
初めて知ったチャラ男の名前。
その瞬間、あたしの中の“絶対に友達なりたくない人”の部類に入れておいた。